Global Teachers College

未来の世界をつくる「教育」という営みをテーマに、 地球一周の船旅の中で開講されるプログラム

ゼミ7 不登校とフリースクール

今日のテーマは「不登校フリースクール」。
近頃いろんな切り口から語られるようになった「不登校」ですが、定義は以下のようになっています。

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「病気や経済的な理油による者を除いたもの」とありますが、心理的、情緒的、身体的な要因がなんらかの病気に結びつくこともあるのではないのか?

経済的理由は、社会的要因に含まれるのではないか?

など、定義の中に矛盾を感じる点もあると、現場では議論になっているところもありますが、ともかくそういった理由により30日以上休んだ子に対して「不登校」と定義することになっています。

 

今日のゼミの前半では、
そんな不登校の当事者たちが考えた、「不登校の子どもの権利宣言」をみんなで輪読をしました。

 

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そして、それぞれがこれらの権利宣言を読んだ中でどう感じるのかをシェアしました。

共感する!という声もあれば、
気持ちは分かるけれど他の意見も視野に入れたほうが・・とモヤっとしている人もいたりとこちらも多様な意見がありました。

感想のシェアには「指メーター」という表示を使いました。

 

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親指が真上を向いた状態が「100%いいね!」の意思表示。
親指が真下を向いた状態がその反対の意味です。その間の微妙な意見の揺れは指を傾けてグラデーションで表します。
指メーターを使うと、異なる意見を持った人同士でグループを組みたい時など、意思表示がわかりやすく便利ですね。また、YESともNOとも言えない微妙なところを説明しやすくなるので、そういう意味でも活用できる方法です。

 

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後半は、日本の不登校フリースクールの歴史について学びました。
不登校についての理解が乏しく、社会からのプレッシャーがひどかった頃、戸塚ヨットスクール事件など、学校に行かなく(行けなく)なった子どもたちが「矯正」の名のもとに体罰を受け、命を奪われる事件が複数起こりました。今のように、「誰にでも起こりうるもの」として認識される前、 は生き死にに関わる問題だったのです。
そういった問題に立ち向かう意味で、フリースクールと呼ばれる学び場が広がっていきました。現在、日本にはフリースクールが数百ほど存在しています。

メンバーからは、「時代によって物事の認識はこうも変わっていく。だからこそ今の当たり前が本当にそうなのか?と考える必要を改めて感じた。」という声もありました。

ゼミ6 世界・社会の変化と教育

この日のゼミでは、「世界・社会の変化と教育」をテーマに、30年前、現在、30年後の未来でどのような変化があるか、グループで考えるというワークを行いました。写真のようなフレームに合わせて、ポストイットで社会状況を貼り付けていきます。

 

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「教育は100年先の未来をつくる仕事」と言われるように、未来の世界・社会を生きる子どもたちを育てるためには、これから起きるであろう未来を頭に入れ想定しながら日々子どもたちと接することが必要です。

バスケットボールで例えると、走っている人にパスをするために、その人の少し前にボールを出してあげる、という状況に似ていますね。

 
グループに分かれて、30年前、今、30年後というタイムラインごとに
家庭、地域、日本、世界の観点で出し合います。

その後、それぞれのグループの出した意見を見て回りました。

 

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未来については、
●人口知能の発達で仕事がなくなる
●一方でホスピタリティが求められる仕事は重要になるのでは?
●今の、地方の限界集落は、もうなくなっているんじゃないか
●家族のカタチはもっと多様化している
などの意見が。

「あれ?そもそも30年後、学校ってあるのかな?」というつぶやきも。

 

未来を見据えて教育や学校のあり方を考えると、自分の中だけで理想を思い描くのとはまた違う視点を得ることができました。

シンガポール報告会

発表に向けて、報告会メンバーで最後の内容詰めをしています。

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GTC生の中で途中参加のメンバーや、ツアーを取れなかったメンバーは、発表のフィードバックをお手伝い、内容を精査するなどそれぞれの役割に分かれてできることをおこないました。

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いよいよ報告会の時間。
若者からシニアの方々まで、30人ほど来ていただきました!

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シンガポールに行ってきたよ〜♩」(みんな行ったよ!と突っ込まれつつ...)

スタートします。

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PISAの状況を説明するえびちゃん

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なぜ我々がシンガポールに注目したのか、旅の目的を説明してくれている、あーりー。

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しほがツアーの行程を説明してくれて、

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トレジャーがシンガポールと日本の比較を、昨日のゼミのフレームワークで習った「Tチャート」を応用して説明してくれています。

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カンボジアの地雷検証ツアーに行っており、シンガポールの教育視察ツアーに同行できなかった「社長」はみんなのプレゼンを聴いてメモをとってくれています。

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主に、現地の中学校の先生との質疑応答のやりとりをまとめてくれた、ちあ。

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最後に、しほが、ツアー全体を通して深まったテーマについて考察を交えながらまとめをしてくれました。

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その後、報告会の参加者の方から、シンガポールと日本の教育の両方を見た中でどちらがよいと思うのか?という質問や、
能力主義」の政策を行う中で、勉強に落ちこぼれていった子への支援はどのようなものがあるのか?という質問をもらう中で、GTC生一人一人が考え、言葉に答えていく時間がありました。

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準備期間1日という短い時間でしたが、チームで何度も内容を精査し直し、しっかりとした発表をしてくれました!

 

ゼミ5 振り返りと内省の会

この日のゼミでは、船に乗ってきた当初に描いていた自分の船内生活と今の状況をすり合わせ、よりよい状況を自分自身でつくっていくことを目的に、船内生活の振り返りを行いました。

 

●今感じていること
●今後どんなふうに進んでいきたいのか
●なぜ船に乗ってきたんだろう

 

こんな問いを自分自身に投げかけ、紙に書き出していきます。
スイスイと難なく答えを出せている人ばかりでなく、沈黙し、じっくり考えながら自分の経験を振り返っていきます。

終わった後には、感想を少し他のGTC生とシェアしました。
自分自身と対話することは慣れていた、という人もいれば、三者面談の時みたいで苦痛だったと感じる人も。


もしかすると、これらの問いに言葉で答えを出せるのはもっともっと後のことかもしれないし、そもそも言語化されるようなものではなく、ほかの表現方法(絵だったり、映像だったり)が適しているのかもしれません。
 
それも、「自分らしさ」の一つの要素として、学びのデザインにぜひ取り入れていってほしいと思います。

ゼミ4 思考のフレームワーク

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シンガポールから帰ってきて1日目のゼミ。
この日は「フレームワークを学ぶ&自分の学び方を知る」がテーマでした。

まずはペアになってから、自分の学び方についてオープンクエスチョンで聞き合います。

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情報を得るだけではなく、人と話し合った時に学んでいると感じることが多いという意見が出たり、怒られた時や失敗した時に一番吸収しているんじゃないかと振り返り人もいました。

次に、その「自分によって良い学び方」を船内で生かしていくにはどうしたらよいのかを聞きあいました。

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そして、フレームワークをいくつか紹介。
何か頭の中で複雑に絡み合った物事を整理したい時に、ある枠組みを利用して腑に落としていく、そんな時にフレームワークは有効です。

いくつかフレームワークの基本形を学んだ後、

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実際にフレームワークを使って、シンガポール教育ツアーのまとめをしていきました。

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このチームは、シンガポール報告会に向けて大量にある情報を精査するために4象限の軸を使っています。

この後、 GTC生は、ゼミが終わっても報告会に向けての準備を頑張ってくれていました。おつかれさま!

シンガポールツアー報告 part3

船内に帰ってきて、現地の学校の先生たちと交流会をおこないました。

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まずは、日本の教育の特徴をGTC生から紹介。

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シンガポールの教育と比べて、特徴的な点として、
小—中—高で6—3—3制であるということ
うち小・中が義務教育であること
大学の進学率は5割ほどであること
小学校では掃除や給食が毎日あること
などを紹介しました。

中学校の先生たちと「多民族社会」「能力主義」について30分ほどディスカッションを行いました。

シンガポールでは、小さい頃から異なった背景の言語や文化を持つ子たちの集団で暮らすことが普通です。その中で、大人や先生が一人一人を大切にするという意味で、誰か特定の子に対して特別扱いをすることはないと言います。
どんな背景の子であっても、同じクラスで学びます。それは特別な配慮が必要な子に対しても同じように考えるそうです。
何か全体に向けて必要な情報があれば、その子自身が自分の口から伝えられる場を先生がつくります。そうすることによって、子どもたち同士でお互いのことを知りたいという気持ちを育むことにも繋がると言います。

また、能力主義や学力格差の問題についてもディスカッションで触れました。
これまでの競争主義的な政策に対し、今は政府自身も課題意識を持っており、変わりつつあるとのこと。一人一人の個性を活かす教育や、その子の持つキャラクターを認め合えるような環境を作ることを現場の先生も意識しているということでした。

ツアーの参加者の中には、日本の小学校で長い間働かれていた元教員の方もいらっしゃり、こういったシンガポールの多文化共生に対する教育が、日本で取り組まれている人権教育の考え方と通じるところが多く、シェアできてよかったという声も上がっていました。

それぞれで切り取る視点は違いますが、多くのことを持ち帰る良いツアーとなったのではないでしょうか。

みなさん、ありがとうございました!

シンガポールツアー報告 part2

前回の記事ではチェンファ中学校の先生によるICTを導入した模擬授業で、地理と数学の授業を受けた様子を紹介しました。

続いて、今回は、科学です。
(この日は3人もの先生に模擬授業を行っていただきました!)

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「Team-Based-Learning(略してTBL)」という指導方法の紹介をしていただきました。

従来の学習は、予習—授業—復習(もしくは宿題)という形を繰り返し、テストを行う方法で組み込まれていました。実際は、予習する量に比べて復習や宿題など、授業の後に行われる学習が多くなってきているのが現状です。
授業では、インプット中心のものが多く、どうしても学習者が受け身になっていまう光景も多く見られます。

 

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TBLは、それを反転させた形として従来の教育方法とは異なる指導方法として位置付けられています。

 

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上記の図のように、授業の前に各自で本を読んでいたり、ノートにまとめてきていたりという作業を行います。
そして、授業では個人で事前に行った学習の内容を用いて、チームで活動を行います。具体的には、事前にある本のある章を読んで自分の意見をまとめておき、当日に自分の意見をチームとシェアするなどがあります。
また、それぞれで課題や疑問を持ち寄り、チームでその解決方法を学ぶということも行ったりします。

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メイリン先生の科学の授業では、そういったTBLの学習形態をとりながら、
チームで調べ学習をする際に有効な手段として「edomodo」というアプリも取り入れています。

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edomodoは無料の学習オンラインアプリです。
オンライン上で動画やテキストを共有することができるため、意見を交換したり、その日授業で使った教材をネット上に共有したりすることもできます。
生徒にメールアドレスを作ってもらい、そのアドレスで一人一つずつedomodoのアカウントを取得します。上記のようにノートをアップすることもできるため、学校に出席できなかった生徒がこういったツールを通して授業に参加することもできるそうです。


続いて、先生たちに案内していただき、学校の内部を見学しました。

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ここは貯水池です。
水質を調べたりするときに活用するそうです。

 

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理科室です。前を向いて座るスタイルの教室ですね。

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実験をする時は、こういったゴーグルをかけて行います。

そして、驚くべきはこちらの写真。

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学校の中にもこういったアクティビティが楽しめるような設備がいたるところにあります。生徒たちは、命綱を付けて活動をします。

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こちらは職員室。
職員室は日本と違って、先生たちの趣味のものや写真でいっぱいです。

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職員室の奥には、先生たちがコーヒーブレークできる部屋があります。
その奥に、私物を入れられる冷蔵庫があるのですが、ハラールイスラム教のひとが食べる食べ物)用の冷蔵庫もありました。こういったところにも、多民族国家である一面が見られます。

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部屋に戻って、ツアー参加者と先生方とで写真を1枚。

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短い時間でしたが、みなさんに暖かく迎えていただき、とても学びの多い時間を過ごすことができました。