Global Teachers College

未来の世界をつくる「教育」という営みをテーマに、 地球一周の船旅の中で開講されるプログラム

ゼミ14 フィンランドの教育と社会

この日のゼミでは、フィンランドの教育事情を、映像を通して学びました。
今回、GTC生の半数がフィンランドの学校を訪問するツアーに参加することになっています。その事前学習を、行かないメンバーも交えて行いました。

PISA(国際学力到達度調査)でトップレベルとなり、教育力の高い国として有名なフィンランドですが、一時は経済が衰退し、国は危機的な状況に陥っていました。
そんな時、国家の再生のために教育を変えようと、大きな改革が行われました。その主眼は、すべての子どもたちに平等に質の高い教育を提供すること、そのために現場の教師に大きな裁量を持たせるということでした。

 

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フィンランドにいくメンバーもそうでないメンバーも、みんなで映像を見ながら感じた疑問や面白いと思ったことなどをメモに書き留めていきます。
自ら問いを立てて、現場へ赴くことで、よりたくさんのことを吸収できればと思います。

実際に現地に訪れるメンバーは実際の現場はどうだったのか、GTC生に限らず船の仲間たちに学んだことを伝えられるといいですね。

ゼミ13 おりづるプロジェクトとコラボ演習

 この日は、いつものGTCゼミメンバーに加え、船内のプロジェクトの一つ「おりづるプロジェクト」のユースメンバーである2人を招き、GTC×おりづるプロジェクトの合同ゼミを行いました。

おりづるプロジェクトは、広島、長崎でおきた原爆体験の証言を各地行うことで核の恐ろしさや平和の尊さを伝えていくプロジェクトです。

今回ユースの2人のミッションは、船内のイベントやピースボートの交流オプショナルツアーなどで様々な企画を行い、若い世代を含む多世代に向けてメッセージを発信していくことにあります。

 

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おりづるユースの二人を招いて、まずはお互いの自己紹介。
そして、ユースの二人の想いを聞きます。
なぜ、船に乗ってきたのか、今まさに直面している課題、そして今後どのようなものをつくっていきたいと思っているのか。

 

その後、GTC生からユースの2人にされに質問を投げかけ、思いや状況を確認します。

そして、グループに分かれて、船内で核や戦争について学ぶ場をどのようにつくっていくことができるのか、どうしたら若い人たちの関心を呼び起こせるのか、自分には一体どんなことができるのかを話し合っていきました。

 

 


GTCは「学びの場をつくる」力をつけることも目的の一つに置いています。
何らかのテーマについて、誰かゲストや当事者を招いて語ってもらう場をつくることは学校現場でもよくあります。そんな時に、どのように学び手に「伝わる」場をつくるのか、関心を持ってもらうために、どういう工夫ができるのか、当事者を尊重することと、学び手の興味を引くことをいかに両立できるのか、そんな視点からもたくさんのことを学んだ1日でした。

 

おりづるユースの2人からは、今まではユースの2人とスタッフの1人の合計3人でミーティングを行っていたため、今回のように10人もいる場に入ることで新しいアイデアをもらうこともでき収穫が多い時間だったと感想をもらいました。
船内で共同生活をしていても、機会がないとなかなか出会えない人たちもいます。こうしてゼミの場を通してつながることが新しいものを生み出していくための新しい一歩になっていくかもしれません。

 

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ゼミ12 学習者の多様性とインクルーシブ教育

この日のゼミのテーマは「学習者の多様性とインクルーシブ教育」。

 

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性別、国籍、など比較的目に見えてわかるような多様性もあれば、文化や生活習慣、宗教、セクシュアリティなど一見外見だけでは分かりづらいようなものもあります。

 

一人一人、顔や形が違うように、持っている個性、性格も違います。

多様性を理解するためにも、まず「自分を知る」ということは必要です。

自分ってどういう人間だっけ?人と違うところはどこ?
そういった自分が自分であるためのもの、「アイデンティティ」を掘り下げ、グループでシェアするところから今日のゼミはスタートしました。

 

そして、カードを使ってワークを行いました。

その人のアイデンティティ(国籍、文化、習慣、セクシュアリティ、家族構成、趣味など)の中で、日本社会において<表明しやすいもの><表明しにくいもの>をディスカッションしながら考えてみました。

 

その中で、この部分は表明しやすいが、この部分は「人」による、「状況」による、「話の文脈」や人との 「関係性」によるなど、様々なパターンを想定しながら作業を進めていきました。

 

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次に、学校生活で日常にありふれている「会話カード」をディスカッションをしながら、「赤(問題あり)」「青(問題なし)」「黄(要注意・要配慮)」の3パターンに分けるというワークを行いました。

これは、「会話カード」の発言内容に関して、傷つく人がいる状況だと赤、場合によっては注意が必要なら黄、特に問題がなさそうなら青というふうに分けていきます。

 

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グループによっても違った意見や考え方が見られ、なぜそういった分け方にしたのかグループを越えて交流が起こっていました。

 

この場にどのようなバックグラウンドの人がいるか、ということに対する想像力や、マイノリティが抱えやすい困難についての知識、そして、見た目で分かるレベルの違いだけではなく、見えないけれど「もしかしたらこういう状況かもしれない」と可能性を考え、想定を広げていくことが、多様な人たちが学びやすい環境をつくるためには重要なのではないでしょうか。

ゼミ11 インタビュー演習の準備

GTCでは、船内のリソースを生かし自分の学びをもっと深めていくことを目的に、インタビュー演習を行います。
今回のゼミでは、その事前演習を行いました。

 

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まず、自分の関心ごとを見つけることや、情報収集の方法を計画することから始めていきます。
そして実際に協力者を見つけてインタビューを実施し、取りまとめて発表するところまでを課題としました。

 

●自分は一体何に興味を持っているのだろう?
●誰に何の話を聞きにいきたいのだろう?

 

こういったことを考え、それを「問い」「リサーチクエスチョン」に落としていきます。

 

この作業は、もちろん1日で完結できるものではなく、何日もかかって実際に行動に移していくうちに納得のいくかたちにまとまっていくものなのかもしれません。
それぞれ、船の友達やGTCスタッフと話し、整理しながら考えていきました。一人ひとりが自分のペースや関心に合わせて発表までの作業を進めていきました。

ゼミ10(公開) 発達凸凹のお話

船内では、「多様性4days」と銘打ち、4日間で人種や文化背景、セクシャリティやその人個人が持つ発達特性など様々な「違い」を理解し合い、人は多様であることに気づき合おうというシリーズ企画が行われています。

船内の人であれば、誰でも参加できる公開講座の中の一つとして、この日は、GTCのコーディネーターであるスタッフの緑さんと、ピースボートモンテッソーリ保育園「こどもの家」のコーディネーターである佐藤愛さんが登壇。
「発達凸凹(でこぼこ)のお話」と題して、自分たちの持つ特性を話し、共有する時間となりました。

 

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緑さん、愛さんともに、診断を受けているわけではないので、正式な「発達障害」ではないとのことでしたが、日常で感じた「ちょっと困ったエピソード」や「自分の苦手なこと」また、逆に「得意なこと」をそれぞれ話していきます。


例えば、緑さんは、ADHD的特性があるということを自覚しており、長所として「閃いたアイデアに対す行動力があること(衝動のままに体が動いてしまう)」「物事を構造化して、整理することが得意」とのこと。逆に苦手なこととして、「コツコツと同じ作業を繰り返すことや、ルーティンワークができない」「行政関係の手続きなどをいつも完了させられない」といった話がありました。愛さんからも同じように「アスペルガー傾向」とも思われる自身の特性が語られました。

 

2人が話している様子に、「うんうん」と首を縦に振り共感している参加者の方もたくさん見られました。
発達凸凹の話は、必ずしも診断名がある人や、発達特性に自覚がある人だけに関わることではありません。一人ひとり得意(凸)と苦手(凹)があり、それらは表裏一体であることも多いです。周囲の環境と、本人の特性が噛み合わない時、それは本人にとって強い生きづらさとなり、周囲にとっても困った影響が出てしまいます。講座の中では、「本人の自身の特性への自覚」と「凸を生かし、凹を軽減する努力や工夫」、そしてそれだけではなく、「環境の調整」や「周囲の理解」がとても重要だというメッセージがありました。

 

一人ひとりが尊重され、持って生まれたものをかけがえのないものだと愛することができるようになる社会を目指していくためにも、まずは一人ひとりが異なるのだということを知り、共生する術を身につけていきたいものです。

ゼミ9 テーマを出し合ってディスカッション

前回、公開ゼミで「多様な教育のカタチ」を学び、特色のある様々な学校の様子を知りました。そのことで抱いたモヤモヤや疑問をそれぞれが振り返りノートに記入していました。

 

今回のゼミでは、そのモヤモヤや疑問から出発して、みんなで追究したい「問い」を出し合い、グループディスカッションを行いました。

 

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まず、前回のゼミで感じたことを共有します。
多くのGTC生が公立学校出身であるため、オルタナティブスクールやフリースクールの価値観に触れ、新鮮な感想を抱いていました。

 

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そして、シェアした感想をもとに、「これって、どうなんだろう?」「深掘りしたい!」という問いを抽出していきました。

 

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そして、これらの中から、みんなで話し合いたいテーマを選び30分ほどディスカッションを行いました。

 

「ディスカッションが久しぶりで、難しかった」
「一つのテーマに絞って話していたけど、結局はみんなが書き出した他のテーマにもかかるような話にも繋がり、面白かった」
「一つ一つの言葉の定義を定めてから、話していかないと話し合いがふわっとするね」

「理想だけで終わらないために、何ができるのだろう」

など、いろいろな意見が出てきたこの日のディスカッション。


限られたゼミの時間だけでは、内容を消化できないことも多く、自発的にゼミ以外の時間で機会をつくってディスカッションをしたり振り返りをするグループも出てくるなど、この日を境にそれぞれの学びのあり方がぐっと深まってきたように思います。

 

ディスカッションの内容だけでなく、進め方や心持ちなどの観点からも意見が出てくるようになり、さらに面白くなってきました。

ゼミ8(公開) 多様な学校のカタチ

この日のゼミでは、<学校>を切り口に、オルタナティブスクール、フリースクールなどそれぞれの特色溢れる教育について学びました。
いつもはGTCの受講者だけで行っているゼミですが、この日はオープン企画ということで、ゼミを受講していないGTC生ではない参加者の方々や、モンテッソーリ保育園「子どもの家」の保育士さんなど様々な人と一緒に学びました。

 

「学校と聞いて思い浮かべるイメージは?」という質問をしてみると、「勉強をするところ」「先生がいる」「掃除や給食がある」など答えがありました。それぞれ、自分自身が過ごしてきた学校や、我が子を通わせてきたを思い浮かべるのですが、多くの人が共通して持っているイメージもありますね。

 

その後、コーディネーターの武田が、日本にある以下の特徴的な学校を写真や動画などを交えて紹介しました。


●きのくに子どもの村学園(http://www.kinokuni.ac.jp/
●伊那小学校(http://www.ina-ngn.ed.jp/~inasho/
自由の森学園http://www.jiyunomori.ac.jp/
アメラジアンスクール・イン・オキナワ(http://amerasianschoolokinawa.org/
●西宮サドベリースクール(http://www.nishinomiya-sud.com/
島根県隠岐島前高校(http://www.dozen.ed.jp/

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※この写真は自由の森学園の様子です。

 

同じ教育について知っても、感じることはそれぞれ。またまた「親指メーター」を使って、共感度合い(違和感度合い)を表現してみたところ、やはり捉え方の違いが際立ちました。

 

教育のかたちは何か正解が一つしかないというようなものではないし、多様な学校・教育を知ることを通して、「よい教育ってどういうものだろう?」「自分の目指すものはなんだろう?」と考えていくキッカケが得られたらいいなと思っています。

 

「初めて聞く名前の学校だけど興味が湧いた」「日本に帰ったらぜひ行ってみたい」という感想の一方で「これまでの自分の学校のイメージとギャップが大きくて混乱している」という声も。こういったモヤモヤに向き合い、自分の教育観をかたちにしていくためにも、話し合う場・共に考える時間を、どんどん持っていきたいと思います。