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Global Teachers College

未来の世界をつくる「教育」という営みをテーマに、 地球一周の船旅の中で開講されるプログラム

ゼミ2 シンガポールの社会と教育

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この日は、シンガポール教育ツアーの事前学習を行いました。
今回、GTCのために特別にアレンジしたうちの1つがこのツアー。シンガポールPISA(国際学力到達度調査)で高いパフォーマンスを発揮し、ICTや理数系強い教育立国として、今世界的な注目を集めています。日本で取り組まれている「アクティブラーニング」型の教育を、日本に先立って行っているこの国を、今回は訪れることになっています。

シンガポールといえば、中国系、イスラム系、マレー系、インドネシアやその他少数民族など、多民族・多文化な国として知られています。面積は淡路島ほどの小さな国です。

そんなシンガポールは、昨今政府主導の先進的な教育改革を始め、商業施設の建設、海外企業の誘致など、アジアの新たな拠点として注目を集めています。
特に、政府が教育にかける国家予算は軍事費に次いで2番目ということもあり、日本や欧米からも我が子に良い教育を受けさせたいと願う家族の移住なども増えてきています。

シンガポールの教育は「能力主義」であるということが大きな特徴です。

 

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上の資料は、シンガポールの教育制度です。
特徴的なのは、「PSLE」という小学校卒業時に子どもたちが受けるテストです。
Primary school leaving examination略してPSLEと言われるこのテストは、日本でいうセンター試験のようなものであり、なんとシンガポールでは12歳(小学校6年生)の時点でこのテストを受け、その点数ごとに進学する中学校が振り分けられ、点数に見合った学校に進学していくのです。

 

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上の図とほぼ同じものですが、こちらの図では、小学校を卒業した後の進学先の一覧をご覧ください。
左側にPSLE(小学校卒業時の統一テスト)がありますね。そして、その成績をもとに7つの「SECONDARY」に振り分けられていきます。右上のほうに「UNIVERSITIES」とあるのが「大学」です。
全体を見てみると、上から2番目のルートのように、UNIVERSITIESに行くために比較的スムーズなルートもありますが、一番下のルートのように複雑なものもあります。PSLEで上位に行けばいくほど、大学には入りやすくなり、下位層は大学進学が難しいというようになっているのです。

このような制度を単に「能力主義」とくくると、それは語弊があるかもしれません。その人その人にあった学力に応じ、進学を勧める人や就職を早めに済ませお金を稼ぐことを勧める人など適材適所な選択ができるような工夫とも言えます。

以下はシンガポールの教育において力点が置かれている分野です。

⑴ 二言語教育
⑵ STEM教育
⑶ ICT教育

それぞれどのような取り組みが行われているのでしょうか。順を追って見ていきましょう。


⑴二言語主義
まず、言語教育について。
シンガポール多民族国家なので、公用語も英語、マレー語、中国語、タミル語と多岐に渡っています。

学校では、母語とともに英語学習にも比重がおかれます。主たる学習言語は英語です。もともとイギリス領だったということもありますが、国土が小さく、資源も少ない、国内市場も小さいシンガポールにとっては、人材こそが最大の資源。そのため、よりグローバルに活躍できる人材をたくさん育成することが国力につながるわけです。

英語で学習できるということは、大学(そして就労)の選択肢も広がります。実際、シンガポール国内で教育を受けて海外の大学に進学することは珍しいことではありません。

⑵ICT教育

ICT(情報通信技術)とは、情報・知識の共有や人と人を結び、双方向のコミュニケーションを促進する技術です。ICT教育とは、学校などの教育現場において、ネットワークの整備や、パソコンやタブレットデジタルカメラなどの情報端末や電子黒板などを導入し、ツールとして活用しようとするものです。

 

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ネットの発達により、対面のコミュニケーションに加え、情報機器を活用した教育手法が日本でも取り入れられつつあります。

国土・資源の小さいシンガポールは、国際競争力強化のための戦略としてICTに注力をしており、それが教育にも反映されているのです。

マスタープランも以下のように設定されています。

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(3) STEM教育

STEMとは、Science、Technology、Engineering、Mathmaticsを表します。つまり、理科、テクノロジー、エンジニアリング、数学の科目の力を伸ばしていくための教育ということです。

シンガポールは2017年までに、すべてのセカンダリー(日本でいう中学校)でSTEM プログラムを導入することが決まっています。

STEM導入を主導するのは、これまでもシンガポールの理数教育に貢献してきたサイエンスセンター・シンガポールという機関です。ここは日本でいうとお台場の日本科学館のような施設で、科学館としてはもちろん、国民のサイエンスリテラシーを高めたり、理数系人材の育成を担う機関でもあります。

 2014年、そのサイエンスセンターが、シンガポール教育省、科学技術省の協力で立ち上げたのが「STEM Inc」という組織。これは実際にSTEMプログラムを中学校で運営するための実務を担当する組織で、退職したエンジニアや、理数系の修士/博士号を持っているスペシャリストたちが多数所属しています。彼らはそれぞれ学校現場にてカリキュラム作成や実際の授業のファシリテートなどの学習支援を行うようです。
また、STEM Inc は提供するSTEMプログラムの内容を、実社会との関連性が明確な次の8領域に分類しています。

・Engineering and Robotics
・ICT Coding and Programming
・Food Science and Technology
・Environmental Science and Sustainable Living
・Materials Science
・Health Science and Technology
・Transport and Communication
・Modelling and Simulation
(Science Centre Annual Report 2014-2015 より)

 

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ツアーでは、実際に中学校の先生の模擬授業を受けることや、交流会の場もあるということで、自分たちが抱いた疑問や、深く聞いてみたい項目を出し合い、共有をしました。