ゼミ28 羽後静子さんによるESDの話
この日は、地球大学との合同ゼミ。水先案内人の羽後静子さんに来ていただき、お話していただきました。
羽後さんは、現在中部大学で教鞭をとっておられるほか、中部ESD拠点推進会議コーディネータとしても活躍されています。
ESDとは、Education for Sustainable Developmentの略であり、「持続可能な開発のための教育」と訳されています。
すっごく深い価値観が込められている概念なのですが、サクッと書いてしまえば、私たちと世界・地球とのつながりを学び、ホリスティックな感覚・視点と姿勢を育み、持続可能な世界の実現を目指す教育です。
そもそも、一体「持続可能な開発」とは一体どういう状態のことを言うのでしょうか。
冒頭、「development」の言葉の意味や現在の使われ方について羽後さんから教えていただきました。
「Development」には今大きく分けて2つの異なる意味があると羽後さんはおっしゃいます。
一つ目は近代化や経済利益のための「開発」。もう一つはその地域本来が持っている力を活かすという意味合いが込められた「(内発的)発展」。
ESDでいうところのDevelopmentとは、本来、後者の意味合いで捉えるべきである、と。
しかし、現状では、貧困国や過疎化が進んでいる国や地域に対して多額のお金を投じることで、近代化や経済的利益を高めようとする支援のあり方が各所で見られます。
内発的発展ではなく、「先進国」の価値尺度が「途上国」に持ち込まれて開発が進められていることに羽後さんは問題を投げかけます。
また、「世界の問題はすべてつながっている」と語る羽後さん。
「海は山の恋人、山は海の恋人」と言われるように、そこには切っては切れない関係性やつながりがあります。しかし、現在の対処としては水の問題は川や海、木の問題は山と分断されているのが現状です。問題に対処するにあたり、「縦割り」や「自治体ごとの管轄」に左右されることで、本質的な解決に至らないこともあるそうです。
そんな中、私たちができることは何なのかを問われます。
- 人間と自然のどちらの側面からも考えることが必要とされるため、複数の分野・領域をまたがる知識が必要になって大変だと感じてしまうが、自分たちの「興味のある範囲から調べていく」こと。
- 頭だけではなく、五感を使い「腑に落ちる」経験を積み重ねていくこと。
- 「当たり前」とされてきたことを疑う姿勢(critical thinking)を持つこと。
そんなメッセージを受け取った1時間でした。
短い時間でしたが、濃厚なお話しを聞くことができました。羽後さん、ありがとうございました!
ゼミ26 ファシリテーションを学ぶ会
この日は、「ファシリテーションを学ぶ会」でした。
GTCでは、これまでにも「場の進行を円滑にする人」という程度の簡単な説明をした程度で、「ファシリテーション」という言葉を使ってきてはいました。
ですが、いまいちどういうことかわからない・・・そんなモヤモヤした状態に陥っている人も少なくなく(笑)
今さらだけれど、「ファシリテーションとは何ぞや!」という疑問を晴らすべく、1コマ全部を使って学んでいきます。
まずは、どのように定義されているの?という確認からスタート。
ファシリテーションについては、様々な人がそれぞれに定義づけをしています。
その中からいくつかを紹介します。
その上で、ファシリテーターの役割は何かを考えるワークをみんなで行いました。
グループに分かれて、話し合います。
しかも、この話し合いを「ファシリテート」することを意識しながらやってみてね、というお題も。「ファシリテーターの役割ってなんだろうね?」という話し合いに構成メンバーの一員として参加しながら、その話し合いのファシリテーションをやるという...結構高度な要求です。
日頃ゼミのディスカッションやワークをする際にファシリテートしてくれている緑さんが、どんな振る舞いをしているのかを思い出したり、自分たちが船内で「しゃべり場」などのイベントを運営した際にどんなことに気をつけていたのかを振り返りながら、グループごとに書き出していきました。そうすると、止めどなく「役割とやること」が出てきます。ファシリテーションという言葉の意味づけ自体はこれまで明確に学習してきたわけではありませんが、普段から学び合うことや相手の思いや考えを引き出すこと、雰囲気よく話し合いを回すこと...などを考えてきているからこそですね。
そして、グループごとにどんな話が出たのか共有。緑さんがそれを聞きながらパソコンに打ち込み、プロジェクターに映し出ししていきます。
「ファシリテーターってすごい存在だね」
「これ全部できたらすごいよね、めっちゃ難しい...」
「こちらから声をかけたり介入するだけじゃなくて、状況を把握すること・見ることが大切だと思った」
「けど、GTCの中ではみんな最初よりもできるようになってきてる気がする」
映し出されたものを見ながら、いろいろなつぶやき・感想が漏れます。
さらに、今の話し合いについて振り返ります。自分はどれぐらい人の話を聴くことができたか、言いたいことをいうことができたか。どのような理由でそう思ったか。話し合いの中で、グループに影響を与えた自分やメンバーの言動はどのようなもので、どんな影響を与えていたかていたか...など今の話し合いで起こったことを確認。
そのことを通して、自分自身の振る舞いや在りようをよりよく変えていくためのヒントを集めていきました。
ファシリテーションは、「用意したイベント的な場」や「会議」でだけに必要なのではなく、日常のいつでもどこでも活かせるもので、だから日常のいつでもどこでも練習することができる、と緑さんは説明します。
GTCのみんなも船内でどんどん意識しながらファシリテイティブなコミュニケーションにチャレンジしてみてほしいと思います。
フィンランド&オランダオーバーランンドツアー報告 part2
オランダでの行程は、
●4日目
- ホフスタッド高校訪問
- リヒテルズ直子さんによるレクチャー
●5日目
- イエナプラン校視察
- モンテッソーリ校視察
4日目は早朝にホテルのロビーに集合し、バスに乗ってヘルシンキの空港へ。
空路で2時間半、オランダのアムステルダムに到着しました。
鉄道とトラムを乗り継ぎ、コーディネーターのリヒテルズ直子さんと合流して、ホフスタッド高校へ向かいました。
高校の入り口付近で先生の熱烈な歓迎を受けて、中に入りました。
Tolerance and Diversity(寛容と多様性)。
国際化を進めるためには、
学校が果たす役割は大きい。
という言葉が、お話の中でとても印象的でした。
高校を見学しながら高校生を話していると、その意味が少しずつ理解できました。
その後、リヒテルズ直子さんによるレクチャーを受けました。
オランダの教育制度、イエナプラン教育についてたくさんの学びがありました。
5日目は、ハーグ市内の2つの小学校を訪問しました。
まずは、イエナプラン校から。
数人のグループに分かれて、クラスを見学しました。
イエナプラン教育では、異年齢学級を編成しています。
1日の始まりは輪になって対話することです。
子どもたちがそれぞれ自分のテンポに合わせて時間を使います。
というのも、決まった時間割はなく、自分で自分の時間割を決めるのです。
必要に応じて、先生から知識や情報を教わる時間もあります。
先生の仕事は、
子どもたちの学びを活性化すること、
サポートすること。
それが見て取れました。
つづいて、モンテッソーリ校へ。
先生からモンテッソーリ教育について話を聞いた後、授業を見学しました。
教室の中だけでなく、様々な場所に子どもたちがいました。
モンテッソーリの教具もたくさんありました。
感覚を使うこと、学び合うことを大切にしているそうです。
学びは、ありとあらゆるものと繋がっています。
そんな当たり前のことを改めて気付かされたツアーになりました。
ゼミ25 ヒロさんによるアクティビティ講習
この日は、洋上フリースクール「グローバルスクール(GS)」のカウンセラーであるヒロさんをゲストに招いてのゼミ。人と人が打ち解けるためのアクティビティを教えてもらいました。
自己紹介のワークや、体を使ったアクティビティ、また遊びながら楽しめるグループ分けのワークなど、明日から実践できそうなものをたくさん学んでいきます!
ともかく、自分たちが体験しよう!ということで、この日は1時間半の間ひたすらヒロさんのアクティビティを楽しみます。
ヒロさんがゲストということでGS生も混じって、いつもよりも大所帯でした。
みんなが集合するまで、ゆったりとくつろいで待つ人も。
GTC生とGS生以外にも、アイスブレイクやリラックスができる場づくりに興味がある人たちが参加。新しい人が来てくれるだけで、新しい風が吹くような特別な感じがして嬉しいですね。
冒頭、ヒロさんから「今日はどんなことがしたい?」とリクエストの受付タイムがありました。なんとダンボール3つ分(!)のワークショップアイテムを準備してきてくださり、わたしたちの要望にも柔軟に対応しようとしてくれてとってもありがたい!
「頭を使わないゲーム」と、まっさきにリクエストをしたのは、最近ディスカッション続きで、頭の中のもやもやが大変なことになっているファンタくん。
続いて、「身体を使ったゲーム」「グループ分けにもつながるもの」などの声があがります。
さっそく、身体一つでできるアクティビティでウォーミングアップ!
上記の写真のアクティビティは、円になって行うアイスブレイクです。
題名は「キャッチ」。
▶詳しいやり方は下記のリンク参照
http://icebreak-iroha.jp/icebreak/catch(アイスブレイクのいろは)
続いて行ったものも、ウォーミングアップ系のアイスブレイクです。
2人1組になり、身体を使って、リズムに合わせて手を叩くなど、出された課題をクリアしていく時間を他のグループと競い合います。慣れたら4人1組担って難易度が上がります。
出されるお題に関する詳しいリズムの取り方などは下記のリンク参照です。
※ この日多なったものと、少しバージョンが違います。
http://icebreak-iroha.jp/icebreak/katatataki(アイスブレイクのいろは)
続いては、グループ分けのアクティビティです。
言葉を介さずに動作のみでコミュニケーションをとりあいます。
お題は「自分の好きなお菓子」これを手、表情、動作など全身を使って表現し、同じ種類の仲間を見つけたらグループになるというものです。
ポッキーとじゃがりこの違いをなんとか伝え合おうとするなど、高度なコミュニケーションを取り合っている姿は、なかなか面白かったです!
いくつかグループ分けのアクティビティを行ったあと、次は全員で目標をクリアすることで一体感が生まれるアクティビティをします。
こちらは「フラフープリレー」をしている写真です。
手をつなぎ、円になった状態でフラフープを送っていくアクティビティ。
「○分以内に全員に送る」など、設定の時間を短くしていくことでチームの力を高めるような働きもあります。
詳しい説明は以下参照
http://icebreak-iroha.jp/icebreak/hooprelay (アイスブレイクのいろは)
次は、全員円になり手をつないで座った状態で「立ち上がる」というものです。
難しかった!
こちらは、最初から全員で行うのではなく、2人組からはじめ、4人組に人数を増やし、そして最終的に一円になった状態で行うアクティビティでした。
「掛け声が大事?」
「いや、タイミング?」
「待って、力のかけ方がわからない!」
いろんな問題点を積極的に声に出してくれるメンバーがいることで、チーム
が前に進みます。
「いっせーのーでで立ち上がるのは難しいんちゃう?」
「体重別に並び替える?」
案をたくさんだしてくれる人がいることで、解決に近づきます。
「いくよ、せーの!」
全体を見て、ここ!という必要なタイミングで声かけをしてくれる人がいることで、みんなの息が整います。
「えいー!」
「わあああー!」
心も身体も集中し、終わったあとには本当に「ニコニコ」に。
とにかく自分で体験するという、ワークがベースの1日で、からだで学ぶ・実際やってみることの大切さも知った1日でした。
ヒロさん、そして参加してくれたみんな、ありがとうございました!
ゼミ24 チャオさんによるリーダーシップの話
この日のゼミのは、船内でも異彩を放つ存在である参加者のチャオさん。
チャオさんは世界中から学生が集まる高校UWC、そしてアメリカの大学を卒業した後、某外資系大手経営コンサルティングファームで働いてこられました。特に、社長や人事部の統括を行うマネジメント層向けにコンサルティングを行ったり、リーダーシップについて研修を行っていたことから、今回はGTC向けに「リーダーシップ」をテーマにレクチャーをお願いしました。
世界で一番北に近い都市レイキャビクを出港してから数日が経ち、ようやく青空が見えてきたこの日。ふーみんの提案で青空教室をすることに。
みんなでパノラマデッキに移動します。
冒頭、チャオさんがみんなに語りかけます。
「何で教育が必要なの?」
「次世代を育てるため」「子どもたちに力をつけるため」
「じゃあ何で、子どもたちを育てるの?」
「子どもたちが未来をつくるから」と、ふーみん。
じゃあ、子どもたちがより良い未来をつくっていくために、私たちにできることって、一体なんだろう?
ということで、子どもたちがこの先、未来を創っていく主体となっていく際に必要なリーダーシップは何なのか、みんなと議論しました。
リーダーシップには、様々な要素が必要だと語るチャオさん。
例えば、オーナーシップ。Ownするとはどういうことか、これは、自分が関わる事柄に関して「責任感を持つ」ことや「主体性を持つ」ようなイメージです。
次に、想像力。このまま物事が進むと、必要となってくるものは何か。このチームに必要なことは何か、自分が何をしなきゃいけないのかなど、様々な事象を先取りし、イメージしながら進めることが重要です。
リーダーシップについて、船内で思いつく事例をそれぞれあげていきます。
ちょうど今、船内のダンスイベントの目前ということもあり、それに参加している人からはダンスチームのあり方が話題に上がりました。
また、寄港地での過ごし方についても事例が上がってきました。一人、二人でまわるのはともかく、5人や6人、時には10人以上の大所帯で寄港地をまわることもあるとのこと。そういった場合は、調べものをしたりスケジュールを組んだり、交渉をしたりして、積極的にものごとを前に進める努力をしないと段取りが付かないこともあります。その中で、行き方を調べたり、ホテルを予約している人は想像力やオーナーシップが高い人といえるかもしれませんね。
風が強く青空の下が寒くなってきたので、急遽部屋の退散したGTC生とチャオさん。
部屋でお菓子を囲み、ほっと一息つきながら、次は自分を知るための診断方法の一つ「MIBT診断」について教えてもらいます。
(※ https://www.16personalities.com/ja/性格診断テスト )
こういった診断ツールをうまく使って、自分を知り、相手を知ることで、仲間とのコミュニケーションは円滑になっていきます。チームとしての力が高まっていくために、こういった時間をとることの大切さを感じた1コマでした。
ゼミ23 四角大輔さんをゲストに迎えて
この日は、水先案内人の四角さんがゼミに来てくれました。
四角さんは執筆家、冒険家、釣り人、プロデューサーなど様々な肩書きを持ちながら活動されています。
大学を卒業してから企業に就職し、15年間日本の音楽業界でプロデューサーとして誰もが知る有名アーティストをプロデュースして来られました。
現在は、ニュージーランドを拠点におきつつも、1年の半分を「旅人」として移動しながら生活しているそうです。森の奥深く、湖のほとりに家を構え、半自給自足で生活をされています。そんな四角さん、実は学生時代は、教員志望だったのだとか。
「とりあえず、みんなのことが知りたいな」
という四角さんに、みんな一人ずつ自己紹介していきます。
一人一人の話を丁寧に聞いていっては、自分との共通点を見出していく四角さん。
実は、子どもの頃から先生が嫌いで、学校にも社会にも希望を持てていなかったこと。
社会に出て、音楽の持つパワーや、それにのせる"人の想い"の影響力を知ったこと。
現在のライフスタイルになって、食べるものを自給するようになり、限りある資源の尊さに気づいたこと、「働くこと」への向き合い方が変わっていったこととなど、実体験に基づいた生の言葉を聞くことができました。
一人一人の話を深く聞き、質問をしていきながら自分のことも語り出してくれる四角さんは、人の良いところをよく見ている人だと感じました。
メンバー同士の人柄が分かってきた今日この頃、四角さんがメンバーに投げかけた質問のおかげで意外な新しい一面を知ることができたゼミとなりました。
ゼミ22 いろんな方法で自分のことを知ろう
この日のゼミの大きなテーマは、もっと自分を知ること!
そんなわけで個人ワークを中心に、自分自身のことを検証していきます。
まずは、リヒテルズさんのワークショップでも登場した「マルチプルインテリジェンス」のセルフチェック。
・数回聞いたことだけでその曲を正確に口ずさむことができる
・水泳や陸上などの個人競技より、球技などの団体競技が好き
・将棋やチェスなどの論理的思考を必要とするゲームが好き
...などの質問にどの程度当てはまるかをチェック。
空間スマート/音楽スマート/自然スマート/身体スマート/人間関係スマート/内省スマート/言語スマート/論理スマートなど多面的な能力の中で自分はどれが優位でどれが苦手なのか...を捉えていきます。
これは、あくまで現時点での傾向をある程度の精度で測ったものでしかなく、固定的なものではない、ということが前提です。しかし、自分の学びやすさの特性を知っておくことで、インプットやアウトプットをする時などに生かすことができます。
お次は、「ジョハリの窓」です。
・自分が知っていて、他人も知っている私=開放の窓
・自分が知っていて、相手は知らない私=秘密の窓
・自分が知らなくて、相手は知っている私=盲点の窓
・自分が知らなくて、相手も知らない私=未知の窓
人の性格や印象を表す形容詞をブレーンストーミング。
ペアになって、自分で自分に当てはまると思う形容詞の印象を、相手も自分に対して持っているかどうか、相手から自分はどんなふうに見えているのかを確認し、それぞれの窓に書き込んでいきます。話しながら、自分自身の自分に対するイメージと、相手が自分に持っているイメージの重なりやズレに気づいていきます。
そしてさらに、PM型リーダーシップの、P型(目標達成型)のリーダーシップとM型(集団維持型)のリーダーシップの要素を自分がどの程度持っている(と思う)かをセルフチェックし、さらに他者からはどう見えるかも聞いてみます。
これも、もちろん固定的なものではありません。現状を自覚して、良さを伸ばしたり増やしたり、苦手な部分はチームワークで補っていくことが重要です。
ワイワイと楽しく取り組みながらも、自己理解が進む時間になりました。